「薔薇と太陽」をきっかけに脱皮したKinKi Kidsの“自然さ”
!ライブのネタバレ含みます!
(※タイトルが長すぎたので変えました)
「We are KinKi Kids Live Tour 2016 TSUYOSHI & KOICHI」の宮城公演初日に参加してきました!素敵だった!楽しかった~!!!!
KinKiさんのコンサートは、昨年末の2015-2016のコンサートに行ってから、2回目の参戦。
それにしても、我ながら良いタイミングでキンキにハマったな!と思う(……なぜそれまで気づかなかったの自分、という後悔は今回は置いておく)。
2015-2016のコンサートのコンセプトは、「KinKi Kidsはふたり」。
今回のWe are KinKi Kidsのコンセプトは、「剛と光一でKinKi Kids」。
確実に進化してる...。しかも、より核心に迫っていってる。
今回のツアータイトルは、ジャニーさんの「Youたちは、光一と剛でKinKi Kidsなんだから」という言から決まったそうで、コンセプトにあわせてそれぞれのソロコーナーも復活した。
ソロコーナーの復活。これは”KinKi Kids 20周年Year突入第一弾シングル”である「薔薇と太陽」の”演出”——光一さんはダンス、剛さんはギターという構成を見ると、ごく自然な流れのようにも思える。
「薔薇と太陽」の演出、N album、今回のツアー演出を経て、その先の未来―—11月2日発売予定の「道は手ずから夢の花」まで、なんとなくKinKi Kidsというグループが歩んでいる道が、光り輝いているように見える。
もう十何年も前、KinKiの2人がソロ活動を始めたときやソロ活動中にいろんな壁を乗り越えたこと、そんな時代を新規ファンの私は知らない。なんとなく、そういう時代もあったんだろうなあと想像するだけだ。
けど、来年に20周年を控えるこの年に、なんだかソロ活動のこともKinKiのことも、二人の中で一つの地平に辿り着いたような、スッキリさっぱりした印象をKinKi Kidsに抱いてる。
私がKinKiファンになりたての2015年の春頃は、あんまり詳しく知らなかったこともあって部分的には靄がかかっているようなイメージだったけど、現在行われているツアーでは、光一さんも剛さんもさらに多くのファンも含めて、その快晴のようなさっぱり感が、どんどん高揚へと向かっていっているような気がする。
きっかけとなったのは、やはり7月発売のシングル「薔薇と太陽」の”演出”なんだろう。
剛さんの痛めている膝の不調を考慮して、急遽、剛さんが歌いながらギターを弾き、光一さんが歌いながら踊るという演出に決まった。
この斬新な構成が、結果的に各方面に大きなインパクトを与えることになった。まあ、普通のグループはこんなことやらないもんね。
というか、ダンスと演奏、両方の世界観がきちんと確立されてないと、ガチな演出として成立しないよね……でも、KinKi Kidsにはそれができた。二人とも、ソロ活動でも長年ストイックに技量を積み上げてきたから。それをKinKiの場でも披露するだけだった。(剛さんは癖のあるバンドのフロントとしてのカリスマ性、光一さんは座長としてトップのダンスを務めるスター性。)
薔薇と太陽以前も、コンサートで各自がダンスとギターに分かれる演出を行っていたので、こうしたパフォーマンスのイメージは、二人の中に当たり前にあったんだろう。でも、新曲のプロモーションとしてその演出を目玉にするようなことは、今まで不可能だった。(不可能というか、普通は選択肢に上がってこないか…。)
両方の確立された世界観——堂本光一らしさと堂本剛らしさを共存させたKinKi Kidsで勝負に出て、それが広く評価された。これは薔薇と太陽の演出から得た、大きな収穫だったと思う。
個々の持ち味を活かしたパフォーマンスは、綺麗にパッケージングされたKinKi Kidsのものよりずっと魅力的に目に映った。二人の表現者としてのそれぞれの実力と魅力が、グループというシステムを超えたような印象すらある…そんなところまで来てる気がする。
結果として、KinKi Kidsというグループとしては”歪”に見えるかもしれない。が、二人が二人らしくナチュラルでいられるのは、そんな歪なKinKi Kidsだ。
今、”歪”という言葉を使ったけど、当の本人たちは全くそんな風に思ってないんじゃないかな。あまりにもその状態が昔から二人の”自然”だったから。
実は薔薇と太陽の”演出”を可能にしたのは、個々の技量の他にも、KinKi Kidsとして幼い頃から二人が共有してきた大きな財産も必要だったはずだ。
ダンスやギター演奏のよりも優先されるのは、楽曲を提供された立場の人間として「歌うこと」に真摯に向き合うこと。
「歌うこと」で二人が繋がっているということ。その主軸がないと、個々のパフォーマンスはバラバラになり、分解してしまう。
KinKiは「歌」のグループだ。
ふたりの「歌うこと」に対する感覚の鋭さと真摯な姿勢は、山下達郎作曲・松本隆作詞の「硝子の少年」でのデビューが象徴的なように、恵まれた音楽環境で育てられたKinKi Kidsの財産と誇りだ。
また、KinKi Kidsはトップアイドルの名に違わず、もちろん剛さんもダンス、光一さんもギター演奏ができる……つまり、相手の世界も分かり合える。
ソロ活動を精力的に行いつつも、KinKi Kidsとしては、間違いなく二人は同じ道を歩んできた。たくさんのことを共有してきた。そんな絶対的な結束力が二人にはある。
薔薇と太陽の”演出”を見ると少し勘違いしそうになるけど、裏を返せば、こうした二人が確かな絆で結ばれているという基本があるからこそ、こんなに個々の異なる世界観にも耐えられるようになってるんだよなぁ。
その固い絆は、剛さんと光一さんにとっては当然のように感じられるものなんだろうけど、それを外部の人間も触れられるように、浮かび上がらせてみせたのが、9月発売のN albumの中の一曲、剛さん作詞・作曲の「陽炎 ~ Kagiroi」だなと思ってる。
それにしても、薔薇と太陽の後、ライブツアー前、というタイミングで二人で歌うためにこんな曲を発表してしまえる剛さんの感覚の鋭さは、スゴイ。
おれと光一は実はこんな曲をこんな風に歌えるんですよ、っていう自信に満ちたアピールにも見えるし、外野に対する一種の牽制にも思えるw
この曲は、二人で歌うために作られたにもかかわらず、文章の区切れ目ではなく、言葉の途中でバトンタッチするかたちで歌われる。
光一「もらい」
剛「鳴きするような 眩暈」
光一「起こしたような 異例」
剛「な息吹の風と廻る地球から」
この歌割りで普通に歌ったら、交互に歌う二人の個性の色が逆に出やすいものなんだけど、KinKiに歌われたこの曲は、とても自然に、綺麗な一つの色で統一されているみたいなんだ。ピアノ奏者の右手と左手それぞれの演奏ってくらい、違和感がない。
(notキンキファン、でもそこそこ音楽好きな妹にN albumを聴かせたとき、「この曲は、剛さん作詞・作曲なんだよ」と紹介したら、「一人で歌ってるの?」と本当に言われた。どう聴いても、ふたりの声に聞こえるんだけど…。もしかしたら、ふたりの声はキンキヲタにしか聴き分けられないくらい似てる説、もあるけどさ。)
そして、これが別録りで成立してしまうのが、KinKiのすごいところだ。普段から相手の歌い方を強く意識して耳を傾けてなければ、この歌はこんな統一性をもって歌えない。
ライブで生で聴いたとき、パッチワークのような歌割りなのに、すごく安定感があった。職人芸のような安定感。
この歌は、光一さんの声が美しく映える歌なんだけど、間違いなく剛さんは光一さんの歌いやすいキーで作曲したんだと思う。
光一さんも「聴いた印象と歌ってみた印象で変わる曲。歌うと『あ、すげえ気持ちいい』みたいな」「歌っていくうちに世界観が構築されていくのが気持ちいい」*1と、結構話題にあげていたので、気になる歌になったようだ。そんなエピソードも熱い。
この「陽炎 ~ Kagiroi」が示しているKinKiの絆には、N album(と次回作)をプロデュースし、今回のツアーにも参加されているシンガー・ソングライターの堂島さんも、編曲から上がってきた音源を聴いて*2↓のような名言を残したほど…。
KinKi Kids Forever …マジで。
— 堂島孝平 (@Dojima_Kohei) 2016年7月31日
世の中にあれ以上の補完関係ってあるんでしょうかね。
— 堂島孝平 (@Dojima_Kohei) 2016年7月31日
ありがとう、そしてありがとう堂島さん…!N album最高です!!!
そんな薔薇と太陽→N albumの流れで上げ潮なKinKiちゃんが行っているツアーが、We are KinKi Kids Live Tour 2016 TSUYOSHI & KOICHIだ。
N albumの楽曲とか今までの堂島さん提供曲とか、見聞きするべきところは盛りだくさんなんだけど、やっぱり一番の肝はソロ→KinKiの流れだったと思う。
それぞれのソロコーナー。ソロコーナーに参加する相方。そしてソロコーナー後に二人になったときの威力はハンパなく、大きなエネルギーと魅力が溢れまくっていた。
私が参加した宮城初日は、とにかくソロからの剛さんの色気が凄まじかった。(他の公演は入ってないから比較できないけど、とにかく、剛さんがやばかった。)
剛さんのソロが終わった直後に「薔薇と太陽」の流れで、光一さんが踊り狂い、剛さんが色気を垂れ流し、その後のUnlock Baby→Plugin Love→Fall Dance→スワンソングも本当に熱い展開だった…。
二つのエネルギッシュで輝いてるオーラが見えるみたいで、二人のフォーメーションも高低差のある縦位置、高低差のある斜め、横、向かい合いで印象がガラリと変わってきて、個性がぶつかり合って刺激し合うってこういうことなんだなぁと感じた。
特にスワンソングの二人が向かい合う振付は、今までの切なげな印象じゃなくて、少年漫画のバトルシーンのような強い個の対立みたいなオーラがあって、現実でこんなことってあるんだ…KinKiやべえ…と震えました。かっこよかった。KinKi強い。
しかしほんと堂本光一と堂本剛のパフォーマンスは尖ってるな、最高だな!(ライブについてはもっともっといろいろ書きたいけど、今日はもうすぐ午前3時なので割愛!)二人の魅力がそのままKinKiの魅力になる、今のナチュラルな二人を歓迎する。
そして、この一つの着地点に到達しようとしているKinKi Kidsの次のシングルが、11月2日発売の「道は手ずから夢の花」だ。
ライブで聴いて、これはKinKiのこれまでを癒すような歌かもしれないと、今どんどん好きになってる。また次は、この歌のことを書きたいなぁ。
*1:広島FM DAYS!のコメント。また、各種雑誌インタビューなどでもこの曲に触れた。
*2:「9月なのに突然ですがKinKi Kids生放送」